サラリーマンとして働くと得られるのは「給与所得」、一方で副業やフリーランス、個人事業としての収入は「事業所得」として扱われます。どちらも所得税の対象となりますが、税制上の仕組みや控除の考え方に大きな違いがあります。本記事では、給与所得と事業所得を比較しながら、事業所得の方が有利となるポイントをわかりやすく解説します。
給与所得とは?
給与所得とは、会社や組織から支払われる給料や賞与を指します。サラリーマンや契約社員、アルバイトの報酬はすべてこの枠に入ります。給与所得の特徴は以下の通りです。
- 源泉徴収:毎月の給料から自動的に所得税や住民税、社会保険料が差し引かれる
- 給与所得控除:必要経費に相当する部分を自動的に控除してくれる
- 確定申告不要:原則として会社が年末調整を行うため、手間がかからない
つまり、給与所得は税務処理が非常に簡単で、税金が自動的に処理される点がメリットです。しかし、控除額や経費計上の自由度は低く、自分で節税の工夫をする余地が限られます。
事業所得とは?
事業所得とは、個人が事業や副業を通じて得た収入から、必要経費を差し引いた金額を指します。フリーランス、個人事業主、副業での物販やライティング収入などが該当します。特徴は以下の通りです。
- 必要経費を自由に計上可能:パソコン代、通信費、交通費、研修費など、事業に関連する支出を経費にできる
- 青色申告特別控除:最大65万円の控除が利用可能(複式簿記で申告した場合)
- 赤字の繰越:赤字が出た場合、翌年以降に繰り越して相殺できる
- 家族への給与を経費に:専従者給与制度を利用すれば、家族への給料も経費にできる
事業所得は申告や帳簿付けが必要ですが、税務上の自由度が高く、節税効果を得やすいのが大きなメリットです。
給与所得と事業所得を比較
項目 | 給与所得 | 事業所得 |
---|---|---|
収入源 | 会社からの給料 | 事業や副業による売上 |
控除 | 給与所得控除のみ | 必要経費+青色申告特別控除 |
税金計算 | 会社が年末調整 | 確定申告が必要 |
赤字の扱い | 損益通算できない | 翌年以降に繰越可能 |
自由度 | 低い | 高い(節税余地が大きい) |
事業所得の方が有利なポイント
事業所得が給与所得より有利とされる理由は、なんといっても節税の幅広さにあります。給与所得者は控除が一律に決まっているため、節税の余地は住宅ローン控除や医療費控除など限られます。
一方で事業所得は、事業に関連する支出を柔軟に経費として認められるため、実質的な課税所得を大きく減らすことが可能です。さらに、青色申告による65万円控除、赤字の繰越、家族給与の経費化など、給与所得にはない制度が多数存在します。
副業サラリーマンが事業所得を活用するには?
最近では、副業で得た収入を「雑所得」ではなく「事業所得」として申告できるケースが増えています。継続性や独立性が認められれば、事業所得として扱われ、経費や青色申告控除を利用できる可能性があります。
サラリーマンが副業を始める際も、帳簿をしっかりつけ、事業としての実態を示すことがポイントです。
まとめ:事業所得で賢く節税しよう
給与所得と事業所得を比較すると、給与所得は手間が少ない分、節税の余地が限られています。一方、事業所得は申告や経理の手間が増えますが、節税効果や将来的な所得拡大の可能性が大きい点で有利です。
サラリーマンとして安定収入を得ながら、副業や起業で事業所得を増やすことは、資産形成の有効な手段となるでしょう。
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